公開日:2026年10月15日

人事評価コメントは、生成AIを使うと下書きの時間を減らせます。ただし、AIに部下の印象を伝えて文章を作らせる方法では、根拠の薄いコメントが増えやすくなります。
人事評価コメントにAIを使うなら、評価ランクは評価者が先に決め、AIには期中の事実メモを評価項目ごとの文章にする作業だけを任せます。
この記事は、部下の評価コメントを毎期まとめて書く管理職と、評価者ごとの書き方の差をそろえたい人事担当者向けです。
事実メモの作り方、下書き用と確認用の2つのプロンプト、評価者が見る確認表、面談で伝える文への直し方を順に示します。
以下の社員・業務・数字・コメントはすべて架空の設計例です。AI製品で生成した結果や、導入効果を測った結果ではありません。
最初に、評価の判断と文章の作成を分けます。評価コメントの作成には、事実を思い出す、評価基準と照らす、ランクを決める、文章にする、本人に伝える、という段階があります。
生成AIが手伝えるのは、主に「文章にする」と「書いた文章を点検する」の2つです。事実を評価項目ごとに並べ替える作業や、言い回しを考える時間は、AIの下書きで減らせます。部下が多い評価者ほど、その時間は大きくなります。
評価者が渡した事実と評価ランクをもとに、評価項目ごとの文章案を作るところまでをAIに任せます。
AIは、評価者が期中に見た行動を知りません。メモにない成果や努力を書き足すと、本人が読んだときに「そんなことはしていない」という不信につながります。
AIへの指示では、メモにない事実を補わないこと、不足があれば「材料不足」と書くことを必ず指定します。
ランクの判断までAIに任せると、誰が何を根拠に決めたのか説明できなくなります。
本人から「なぜこの評価なのか」と聞かれたとき、評価者が示せるのは、自分で見た事実と評価基準です。AIが出した文章は、その説明の代わりになりません。
評価は昇給や配置に関わるため、AIの文章案を判断の根拠として扱わず、評価者が説明できる事実を根拠にします。
| 作業 | 生成AIに任せること | 評価者が行うこと |
|---|---|---|
| 事実を集める | 社内で入力を認めた範囲の日報や面談記録から、評価者が選んだ事実を評価項目ごとに並べ替える | 漏れている出来事と、誤った記録を直す |
| ランクを決める | 任せない | 評価基準と事実を照らして決める |
| 文章にする | 事実とランクから、評価シート用の文章案を作る | 本人が読んで事実を確かめられる文か見る |
| 点検する | 根拠のない表現やランクとのずれを指摘する | 指摘を採用するか判断し、最終版を決める |
| 本人に伝える | 面談で話す順番の案を作る | 自分の言葉で伝え、本人の意見を聞く |

下書きの質は、プロンプトより先に、渡す材料で決まります。そろえるのは、評価項目と基準の文言、期中の事実メモ、入力してよい情報の範囲の3つです。
自社の評価シートにある項目名と、ランクごとの基準の文言をそのまま用意します。
例えば「B:期待どおりの成果を、指示を受けずに出した」のように基準が書かれていれば、AIはその言葉に合わせて文章を作れます。
基準の文言を渡さずに「よく頑張った」と伝えると、AIは一般的な褒め言葉を並べやすくなり、ランクとの関係が読み取れない文章になりがちです。
事実メモは、評価期間中に評価者が見聞きした出来事を、日付・行動・結果の3点で残したものです。
期末に思い出して書くと、直近の出来事だけが残りやすくなります。月に一度、5分でもメモを残しておくと、期初の出来事も評価に入れられます。
以下は、受注処理を担当する架空の社員Aの事実メモです。評価期間は4月から9月、5段階評価(S・A・B・C・D、Bが期待どおり)とします。
| 時期 | 行動 | 結果・根拠 | 評価項目 |
|---|---|---|---|
| 6月 | 自分から提案して受注入力の確認手順を見直し、チェック表を作った | 入力の差し戻しが4〜6月の月平均8件から、7〜9月は月平均3件になった(受注管理表で集計) | 業務改善 |
| 4〜8月 | 締切前日に、受注ごとの出荷日を確認した | 出荷日の誤案内は0件(受注管理表で集計) | 正確性 |
| 8月 | 新人向けに受注入力の手順書を作り、説明会を2回開いた | 新人2名が9月から一人で入力している | 協働 |
| 9月 | 繁忙期に、締切前日の確認を1件行わなかった | 顧客に出荷日を誤って案内し、翌日に訂正した | 正確性 |
このメモには「明るい」「やる気がある」といった印象の言葉が入っていません。印象ではなく、本人も確かめられる行動と結果だけを書いておくと、AIが作る文章も根拠のある内容になりやすくなります。
日々のメモを残す方法は、日報のメモから生成AIで下書きを作る方法も参考になります。
評価コメントの材料には、氏名、所属、給与、勤怠、家庭の事情など、外部に出せない情報が混ざりやすくなります。
個人情報保護委員会は、事業者が個人情報を含む内容を生成AIへ入力する場合、利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確認するよう注意喚起しています(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」、2023年6月2日)。同じ注意喚起は、本人の同意なく個人データを入力し、そのデータが応答の出力以外の目的で扱われる場合は法令違反となる可能性があるとして、入力したデータが機械学習に利用されないことなどを十分に確認するよう求めています。
初めて試すときは、この記事のような架空の社員の事実メモを使います。実際の材料でも、給与・社員番号・健康や家庭に関する情報は文章の下書きに不要なので入力しません。
ただし、名前を消しても、部署と出来事の組み合わせで本人が分かる場合があります。実際の評価材料を入力する前に、社内の情報管理ルールと、使うAIサービスの契約・データの扱いを確認します。
同じ製品名でも、個人向けと法人向けの契約では、入力データの扱いが異なる場合があります。入力内容が学習等に利用されない条件かも確認し、自社で入力する情報の範囲まで認めた環境だけで使います。
材料がそろったら、評価シートに書く文章の案をAIに作らせます。
ChatGPT、Gemini、Copilotなど、社内で利用を認めた対話型AIに、以下の指示文を貼って使います。 以下の指示文は、上の架空例に合わせた設計例です。自社で使うときは、評価項目・基準の文言・字数を自社の評価シートに置き換えます。
初回は下の架空例を使います。実際のメモは、氏名を除いても部署や出来事から本人が分からないか、入力内容の学習利用など契約条件が社内ルールに合うかを確認してから渡してください。
次の期の行動は、AIに決めさせず、評価者が先に決めて入力します。
あなたは、人事評価コメントの文章作成を手伝う担当です。
評価のランクはすでに評価者が決めています。ランクを変えたり、提案したりしないでください。
【使ってよい情報】
下の【評価基準】【評価ランク】【評価期間】【事実メモ】【評価者が決めた次の期の行動】に書かれた内容だけを使ってください。
事実メモにない成果・努力・性格・意欲は書き足さないでください。
根拠が足りない項目は、文章を作らずに「材料不足:〇〇が分かる事実が必要です」と書いてください。
【書き方】
・評価項目ごとに、100〜160字で書いてください。
・1文目に、ランクの理由となる行動と結果を書いてください。
・数字は事実メモにあるものだけを使い、計算し直さないでください。
・改善点がある項目は、評価者が決めた次の期の行動を1つ書いてください。未決なら行動や期日を補わず「要確認:次の期の行動」と書いてください。
・性格や人柄への評価、他の社員との比較、評価と関係のない私生活には触れないでください。
・です・ます調で、本人が読む前提で書いてください。
【評価基準】
S:期待を大きく上回り、部署全体の成果に影響した
A:期待を上回る成果を出した
B:期待どおりの成果を、指示を受けずに出した
C:期待に届かない部分があり、支援が必要だった
D:期待を大きく下回った
【評価ランク】
業務改善:A
協働:B
正確性:B
【評価期間】
4月〜9月
【評価者が決めた次の期の行動】
正確性:締切前日の出荷日確認をチェック表の必須項目にして運用する。
業務改善・協働:今回のコメントでは新しい行動を追加しない。
【事実メモ】
・4〜8月:締切前日に、受注ごとの出荷日を確認した。出荷日の誤案内は0件(受注管理表で集計)。
・6月:自分から提案して受注入力の確認手順を見直し、チェック表を作った。入力の差し戻しが4〜6月の月平均8件から、7〜9月は月平均3件になった(受注管理表で集計)。
・8月:新人向けに受注入力の手順書を作り、説明会を2回開いた。新人2名が9月から一人で入力している。
・9月:繁忙期に、締切前日の確認を1件行わなかった。顧客に出荷日を誤って案内し、翌日に訂正した。
【出力の形】
評価項目:
ランク:
コメント:
使った事実:(事実メモのどの行を使ったか)
この指示文の要は、最後の「使った事実」の欄です。AIの文章が事実メモのどの行に基づくかが分かると、評価者は書き足された内容をすぐに見つけられます。
改善点には、評価者が決めた次の期の行動を書く指定も入れています。「注意力を高めましょう」のような文では、本人が次に何をすればよいか分からないためです。行動が未決なら、AIに考えさせず、要確認として評価者に戻します。
ただし、指示文を書いても、AIが必ず守るとは限りません。出力を読んだら、事実メモにない言葉が混ざっていないかを毎回確認します。
以下は、上の指示文で期待する出力を、弊社が手で書いた設計例です。AIの実行結果ではありません。
| 評価項目 | ランク | コメントの設計例 | 使った事実 |
|---|---|---|---|
| 業務改善 | A | 6月に自分から提案して受注入力の確認手順を見直してチェック表を作り、入力の差し戻しを4〜6月の月平均8件から7〜9月は月平均3件に減らしました。見直した手順をチェック表として残し、差し戻しを減らした点を評価します。 | 事実メモの6月の行 |
| 協働 | B | 8月に新人向けの受注入力の手順書を作って説明会を2回開き、新人2名は9月から一人で受注入力を行っています。自分の担当業務の手順を手順書にまとめ、新人が一人で入力できるよう支援した点は、期待どおりの働きです。 | 事実メモの8月の行 |
| 正確性 | B | 4〜8月は締切前日に出荷日を確認して誤案内は0件でしたが、9月の繁忙期に確認を1件行わず、顧客に出荷日を誤って案内し、翌日に訂正しました。次の期は、締切前日の確認をチェック表の必須項目にして運用してください。 | 事実メモの4〜8月と9月の行。次の期の行動は評価者が決めた内容 |
過去の行動や結果は事実メモにある内容だけで書き、正確性の次の期の行動は評価者が決めた内容を使っています。「責任感が強い」のような人柄の評価は入っていません。
正確性をBとしたのは、架空例の評価者が、4〜8月の確認と9月の1件の漏れ、翌日の訂正を合わせて判断したためです。ランクの理由はAIではなく評価者が持ち、コメントはその理由を事実で説明する役割です。
自社の評価項目に合わせて例文の型がほしい場合は、次の表のように、ランクごとの書き出しと【】に入れる事実を決めておきます。
以下も架空の設計例です。過去の行動や結果の【】は事実メモで埋め、次の期の行動・期日・頻度・確認する人は評価者が決めた内容を入れます。AIに空欄を推測で埋めさせません。
| 評価項目とランク | 例文の型(設計例) |
|---|---|
| 業務改善・A | 【時期】に自分から【改善した手順】を見直し、【数字で分かる結果】につなげました。改善を【残した形(手順書・チェック表など)】として残した点を評価します。 |
| 業務改善・C | 【時期】に【改善の取り組み】を始めましたが、【届かなかった点】が残りました。次の期は【次に取る行動】を【期日】までに進めてください。 |
| 協働・B | 【時期】に【周囲への共有や支援の行動】を行い、【相手の変化】につながりました。担当業務の知識を周囲と共有した点は、期待どおりの働きです。 |
| 正確性・B | 【期間】は【確認の行動】を続け、【誤りの件数など】でした。一方、【時期】に【起きた誤り】があり、【その後の対応】をしました。次の期は【再発を防ぐ行動】をしてください。 |
| 正確性・C | 【期間】に【誤りの内容】が【件数】ありました。【支援した内容】を受け、【改善の状況】です。次の期は【確認の行動】を【頻度】で行い、【確認する人】と結果を共有してください。 |
例文の型は、言い回しをそろえるための道具です。過去の行動を事実で埋められない項目は、事実メモを先に補います。次の期の行動が未決なら、評価者が決めるまで要確認として残します。
下書きができたら、別の指示文でAIに点検させてから、評価者が確認表で最終確認します。
作成と点検を1回の指示にまとめると、AIが自分の書いた文を問題なしと返す場合があります。点検は新しい会話で、点検用の指示文を使って行います。
あなたは、人事評価コメントの点検を手伝う担当です。
評価のランクを変えたり、コメントを書き直したりせず、問題がありそうな箇所を指摘するだけにしてください。
次の観点で、下の【コメント】を点検してください。
1. 【事実メモ】にない成果・行動・数字が書かれていないか
2. ランクの基準と、コメントの内容が食い違っていないか
3. 「頑張った」「意識が高い」など、行動が分からない言葉だけで評価していないか
4. 性格・人柄、他の社員との比較、私生活・健康・家庭の事情に触れていないか
5. 評価期間の終わりの出来事だけに偏っていないか
6. 改善点が、評価者の決めた次に取る行動として書かれ、未決の行動や期日が足されていないか
【出力の形】
観点の番号/該当する文/問題だと考えた理由
問題が見つからない観点は「該当なし」と書いてください。
【評価基準】
(評価シートの基準をそのまま貼る)
【評価ランクと評価期間】
(評価者が決めた項目ごとのランクと、評価対象期間を貼る)
【評価者が決めた次の期の行動】
(下書きに渡した行動をそのまま貼る。未決なら未決と書く)
【事実メモ】
(下書きに使った事実メモをそのまま貼る)
【コメント】
(下書きのコメントを貼る)
点検の指示では、AIに書き直しをさせていません。直す文を決めるのは評価者です。AIの指摘は、見落としを減らすための候補として扱います。
点検の結果が「該当なし」ばかりでも、問題がないとは言い切れません。AIは問題を見逃すことも、問題のない文を指摘することもあります。
本人に渡す前に、評価者が次の表で確認します。AIの点検結果と同じ観点ですが、判断するのは評価者自身です。
| 確認すること | よくある書き方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 事実メモにない内容がないか | 「チームの士気を高めました」 | 見た事実がなければ削る。あればメモに追記してから書く |
| ランクと表現の強さが合っているか | Bなのに「期待を大きく上回る活躍」 | 基準の文言に合わせて書き直す |
| 行動が分かる言葉か | 「意識が高く、よく頑張りました」 | いつ・何をしたかに置き換える |
| 人柄や私生活に触れていないか | 「真面目な性格で」「家庭の事情がある中」 | 評価項目に関係する行動だけを書く |
| 直近の出来事に偏っていないか | 9月の出来事だけで正確性を評価 | 期初からのメモを見直し、期間全体で書く |
| 改善点が行動になっているか | 「注意力を高めましょう」 | 評価者が決めた次の期の行動を書く。未決なら要確認とする |
表の2行目は、ランクに合わない強い褒め言葉がないかを確認する項目です。丁寧な文章を求めると褒め言葉が強めになる場合があり、B評価のコメントがA評価のように読めることがあります。
本人がコメントを読んで「これだけ褒められているのに、なぜBなのか」と感じると、評価への納得が下がります。
評価シートに残す文と、面談で本人に話す言葉は、同じ内容でも形を変えます。
評価シートのコメントは、後から人事や二次評価者が読んでも根拠が分かるように書きます。面談では、本人が話を聞きながら理解できる順番が必要です。評価シートの文章を読み上げるだけでは、本人が意見を言う余地がなくなります。
面談の準備にAIを使う場合は、確定したコメントを渡し、「本人に伝える順番を、良かった点・改善点・次の期の行動の順で箇条書きにしてください。本人に質問する文を1つ入れてください」のように指示します。
面談では、AIの案を台本として読むのではなく、話す順番のメモとして使い、本人の受け止めを聞く時間を残します。
改善点の伝え方は、AIの文章がそのまま使いにくい部分です。抽象的な助言を、本人が実行できる行動に直します。
| 直す前 | 直した後 |
|---|---|
| 確認不足が見られたので、注意力を高めてください。 | 9月に締切前日の確認が1件抜けました。次の期は、締切前日の確認をチェック表の必須項目にして運用してください。繁忙期の確認の時間を一緒に決めましょう。 |
| 周囲との連携をさらに強化しましょう。 | 手順書を作った経験を生かし、10月の手順変更の説明も担当してもらえますか。 |
| より高い目標に挑戦してください。 | 次の期は、差し戻しの月平均3件という水準を保ちながら、出荷部門との確認方法の見直しにも取り組んでください。 |
直した後の文は、次の期に行う業務を具体的に示しています。次の面談で、その行動を実行できたかを確認できます。
この3行の次の期の行動・頻度・役割は、評価者が面談で提案し、本人と確認する例です。「繁忙期の確認の時間」「10月の手順変更」「出荷部門との確認方法の見直し」は、過去の評価の根拠には使いません。評価の根拠は、事実メモにある出来事だけです。
面談の内容を記録に残す方法は、AI議事録の作り方の決定事項と次の対応の整理が参考になります。
評価者一人が試して使えると分かったら、部署や会社全体で使う段階に進みます。全体で使うときは、プロンプトを配るだけでは足りません。評価者ごとの書き方の差、評価シートへの記録、確認の順番を決めておく必要があります。
同じB評価でも、評価者によって表現の強さが大きく違うと、部署間で不公平に見えます。ランクごとに「使う言葉」と「使わない言葉」を決めて、プロンプトの【評価基準】の下に貼ると、評価者が違っても表現の強さをそろえやすくなります。
| ランク | 使う言葉の例 | 使わない言葉の例 |
|---|---|---|
| A | 期待を上回る、自ら見つけて改善した | 完璧、誰よりも |
| B | 期待どおり、指示を受けずに進めた | 素晴らしい活躍、期待を大きく上回る |
| C | 期待に届かない部分があった、支援を受けて進めた | 能力が低い、やる気がない |
この表は架空の例です。自社の評価基準の文言から作り、人事部門と評価者で合意してから使います。
Excelと人事評価システムでは、AIの使い方が変わります。どちらの場合も、誰が、どの順番で、どこに記録するかを先に決めます。
例えば、次のような流れが考えられます。
AIが作った案と、評価者が確定した最終版は、別の欄か別の版として残します。本人から「この評価の根拠は何か」と聞かれたときに、評価者が確定した文と事実メモを示せる状態にするためです。
休職や異動で評価期間の一部しか見ていない社員など、通常と違う扱いが必要な場合は、AIの下書きを使わずに社内規程に沿って人事部門と相談します。
文章の作成だけでなく、期中のメモ収集や提出状況の管理まで必要かを整理します。
比較するときは、事実メモを期中に記録できるか、AIの案と確定版を分けて残せるか、入力データの扱いが自社のルールに合うかを、同じ条件で確認します。
既製品で要件を満たせるなら、個別に仕組みを作る必要はありません。日報や面談記録、既存のExcelの評価シートとつなぐ必要がある場合は、どの業務から試すかを先に整理します。
AIを試す業務の選び方は、中小企業のAI導入の進め方で詳しく説明しています。
使い始めの時期に起きやすい状態と、直し方をまとめます。
| 困っていること | 確認すること | 直し方 |
|---|---|---|
| 全員のコメントが似た文章になる | 事実メモが「頑張った」など印象だけになっていないか | 日付・行動・結果のメモを1項目に1つ以上用意する |
| B評価の人まで大きく褒めている | 評価基準の文言と、ランクごとの言葉を渡したか | 基準とランク別の言葉の表をプロンプトに貼る |
| メモにない成果が書かれている | 補わない指示と「使った事実」の欄があるか | 使った事実の欄で根拠のない文を見つけて削る |
| 「材料不足」ばかり返ってくる | 評価項目ごとの事実メモがあるか | 期中の記録を見直す。事実がない項目は面談で本人に聞く |
| 本人から根拠を聞かれて答えられない | 事実メモと確定版が残っているか | AIの案と確定版を分けて保存し、事実メモとひもづける |
表の5つのうち3つは、プロンプトの言い回しではなく、渡している材料が原因です。プロンプトを直す前に、事実メモと評価基準を見直してください。
人事評価コメントのAI活用で減らせるのは、評価そのものの手間ではなく、決めた評価を文章にする手間です。
ランクを決めるのは評価者で、AIに渡すのは本人も確かめられる事実だけ、という線を守れば、下書きの時間を減らしながら、根拠を説明できるコメントを残せます。
最初の一歩として、この記事の架空の社員の事実メモを、下書き用の指示文で文章にし、「使った事実」の欄が正しいか確かめます。実際の一人分へ進む前に、再識別の可能性と社内ルール、契約の学習利用条件、入力してよい範囲を確認してください。
部署全体で使う段階になったら、評価シートや日報、面談記録のどこに何を残すかを決めます。記録のつなぎ方や、AIを使う範囲を、まるっとAIにご相談いただけます。
よくある質問
Q. 人事評価のランクもAIに決めてもらえますか?
A. ランクは評価者が評価基準と事実を照らして決め、AIには決めさせないでください。
AIは評価期間中の行動を見ていないため、判断の根拠を説明できません。
AIに任せるのは、決めたランクと事実メモを文章にする作業と、書いた文の点検までにします。
Q. ChatGPTやGeminiに部下の評価材料を入力しても大丈夫ですか?
A. 初回は架空の社員の事実メモで試します。
実際の材料は、社内ルールとAIサービスの契約、入力内容の学習利用条件、入力してよい情報の範囲を先に確認してください。
氏名を除いても部署と出来事から本人が分かる場合があります。
給与や健康・家庭の情報は下書きに不要なので入力しません。
個人情報保護委員会も、個人情報の入力が利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確認するよう注意喚起しています。
Q. AIが書いたコメントをそのまま評価シートに貼ってもよいですか?
A. そのまま貼らず、評価者が確認表で確かめてから最終版にしてください。
事実メモにない成果が書き足されていないか、ランクに合う表現かを重点的に確かめます。
次の期の行動は評価者が決めた内容だけを使い、未決なら要確認とします。
AIの案と評価者が確定した版は分けて残します。
Q. 事実メモがほとんどない場合はどうすればよいですか?
A. 材料が足りない項目は、AIに文章を作らせず、評価者が期中の記録や日報を見直します。
それでも事実が見つからない項目は、面談で本人に取り組みを聞いてから書きます。
次の評価期間からは、月に一度、日付・行動・結果の3点でメモを残すと期末の負担を減らせます。
Q. 評価者によってコメントの書き方がばらばらなのを、AIでそろえられますか?
A. 評価基準の文言と、ランクごとに使う言葉・使わない言葉を決めてプロンプトに貼ると、表現の強さをそろえやすくなります。
ただし、評価者ごとのランクの付け方の差は、文章を整えても解消しません。
ランクの基準は、評価者会議などで別にすり合わせてください。
Q. 部下が自己評価を書くときにもAIを使えますか?
A. 同じ考え方で使えます。
本人が期中の行動と結果を事実メモにまとめ、自己評価の文章案をAIで作り、自分で確認して提出します。
自分にない成果を書き足さない指示と、使った事実を示す欄を入れておくと、上司との面談で根拠を示しやすくなります。

編集・検証について
人事評価コメントの作成に生成AIを使う際の、事実メモ・評価基準・確認の分担を説明しています。