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AI活用

事業計画書を生成AIで
作るプロンプト決算書と見積から書く
手順と審査で突かれる数字

公開日:2026年10月25日

執筆:

決算書と見積書をもとに、生成AIが事業計画書の章ごとの下書きを作り、経営者が数字を確かめて仕上げる流れ

補助金の申請や設備資金の融資で事業計画書が必要になったとき、生成AIを使えば、白紙から書き始めずに済みます。

ただし、AIに任せるのは「章ごとの文章の下書き」と「足りない材料の洗い出し」までです。売上や投資額、付加価値額などの数字は、決算書と見積書から経営者が自分で決め、計算を確かめます。

この記事は、手元に決算書と設備の見積書はあるけれど、計画書の文章が書けずに止まっている中小企業の経営者・管理部門の方に向けて書いています。

事業計画書の章(現状と課題・取組内容・投資計画・数値計画・体制と日程)ごとに、ChatGPTやGemini、Claudeに貼って使うプロンプト(AIへの指示文)を載せました。角括弧[ ]の中を、自社の材料に差し替えて使います。

使い始めは、チャット画面の入力欄に「最初に送る共通のプロンプト」を貼り、AIから返ってきた質問に答えてください。そのあと①から順に、章ごとのプロンプトを同じ画面に貼っていきます。

あわせて、補助金の公募要領の原文に沿って、労働生産性や1人当たり給与支給総額など、審査で根拠を求められる数字を検算する手順を詳しく説明します。

公募要領は、中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領 第8回公募(2026年9月18日改訂)と、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領 第1回(1.3版)を、2026年10月15日に確認しました。記事中の要件の数字と様式の項目は、この2つの回の公募要領に基づいています。

同じ日に確認した締切は、省力化投資補助金(一般型)第8回が2026年10月16日17時(事務局の公募スケジュール)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回が2026年10月30日18時(公募要領の表紙)です。10月15日の時点では、どちらも申請を受け付けていました。2026年10月25日に事務局の公募スケジュールを確かめ直すと、省力化投資補助金(一般型)第8回はすでに締め切られていました。次の第9回は、2026年11月上旬に公募開始、12月下旬に締切と予定が示されています。この記事を読む時点で締め切られている場合は、次の回の公募要領で要件と様式を確かめ直してください。要件の数字や様式の項目は、公募回ごとに変わることがあります。

記事中の会社・決算の数字・見積・出力の見本は、説明のために作った架空の例です。実在の会社の計画書や採択結果ではなく、プロンプトをAIで実行した結果を載せたものでもありません。数字の計算は、弊社で検算しています。

この記事で分かること

  • 今回確認した2つの補助金では、事業計画書の作成に外部の助言を受けてもよいものの、作るのは申請者自身と定められています
  • 補助金の計画書で使うのは、公募要領と様式の見出しをそのまま並べた章立てです
  • 文章が整っても、数字のつながりが崩れていると審査で根拠を求められます

生成AIに任せる作業と、
経営者が決めること

最初に、事業計画書づくりのうち、AIに渡す作業と自分で持つ作業を分けます。

事業計画書は
「申請者自身で作成」が前提

今回確認した2つの補助金では、事業計画書の作成に外部の助言を受けてもよいものの、作るのは申請者自身と定められています。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、事業計画書について「必ず申請者自身で作成してください。作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります」と定めています。省力化投資補助金(一般型)の公募要領も、事業計画は申請者自身で作成するよう求めています。

生成AIの使い方については、2つの公募要領には、認める記載も禁じる記載も見当たりませんでした。一方で、省力化投資補助金(一般型)の公式資料「事業計画書作成の参考ガイド」は、生成AIサービス等で公募要領の要点をつかみ、事業アイディアを壁打ちしながら計画づくりに活かすことを勧めています。

このガイドが勧めているのは、要領の理解とアイディアの検討に使うことです。AIが書いた文章をそのまま提出してよいとは、どちらの資料にも書かれていません。また、省力化投資補助金(一般型)には、書面では分かりにくい案件を中心にオンラインの口頭審査があり、事業者自身が対応すると定められています。

AIで下書きを作っても、計画書のすべての文と数字を、経営者が自分の言葉で説明できなければなりません。

作業生成AIに任せる経営者・担当者が持つ
材料を集める足りない材料を質問させる決算書・見積・作業記録を用意する
章の文章を書く材料をもとに、様式の見出しに沿った下書きを作る事実と違う文・材料にない文を削る
数字を決める計算式の一覧を作る売上計画・投資額・賃上げ率を決め、表計算ソフトで検算する
提出前に見直す審査項目と照らして、根拠が弱い箇所を指摘させる指摘を採用するかを判断し、資料で裏付ける

経営者が決算書・見積書・作業記録をそろえ、生成AIが章ごとの下書きと不足する材料の質問を出し、経営者が表計算ソフトで数字を検算して事実と違う文を削り、説明できる状態にしてパソコンの電子申請で提出する流れを示しています。

補助金と申請枠は、
下書きの前に決める

AIに下書きを頼む前に、計画がどの補助金のどの枠に当てはまるかを確かめます。対象にならない補助金の様式で書き進めると、書いた文章が使えなくなります。

例えば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の3つの枠は、新製品・新サービスの開発、新しい市場への進出、新しい海外市場の開拓に取り組む事業が対象です。公募要領には、既存の製品・サービスの生産などの工程を改善する事業は、革新的新製品・サービス枠の対象外と書かれています。

省力化投資補助金(一般型)は、人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備などを導入する計画が対象で、汎用の設備を単体で入れるだけの事業は対象外です。自社の計画が対象になるか分からなければ、下書きに入る前に、事務局のコールセンターや認定経営革新等支援機関に確認します。

AIに渡す前にそろえる資料

AIの下書きの質は、渡す材料でほぼ決まります。業種と設備の名前だけでは、どの会社にも当てはまる文章しか返ってきません。

他の事業者の計画と同じ内容や似た内容の事業は、補助の対象から外れることがあります。外れる範囲を示す原文の言い方は制度で違い、省力化投資補助金(一般型)第8回は「同一若しくは極めて類似した内容の事業」、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回は「同一又は類似した内容の事業」です。自社の決算の数字、作業時間、見積の明細といった、自社にしかない材料を先にそろえてから使い始めます。

資料取り出す数字・事実使う章
決算書(直近3期)売上高、営業利益、減価償却費。製造業は製造原価報告書の労務費も見る現状と課題・数値計画
賃金台帳の年間集計給与支給総額、全月分の給与を受けた従業員数、役員の人数数値計画(労働生産性・賃上げ)
設備・システムの見積書品名、型番、数量、税抜金額、見積日取組内容・投資計画
作業時間の記録対象の作業、担当人数、1日の時間、記録した期間現状と課題・取組内容
取引先別・製品別の売上売上の構成と増減(社名は伏せて渡す)現状と課題・数値計画
設備の納期と支払の予定交付決定と発注の予定日、納品・据付・検収・支払の予定月、資金の用意の仕方体制と日程

作業時間の記録がない場合は、申請の前に1〜2週間でも実際の時間を書き出しておきます。業務ごとの時間の書き出し方は、業務棚卸し表でAI化する業務を選ぶ方法で表の形にしています。

章立ては補助金の
様式に合わせる

AIに「事業計画書を書いて」と頼むと、市場分析やSWOT分析など、一般的な章立てで返ってきます。補助金の計画書で使うのは、公募要領と様式の見出しをそのまま並べた章立てです。

例えば、省力化投資補助金(一般型)第8回の公募要領では、事業計画書(その1・その2)に次の項目を盛り込むよう示されています。

  1. 事業者の概要(現状分析・経営課題・省力化補助金活用の動機・目的)
  2. 省力化投資の具体的内容(業務プロセスや配置のビフォーアフター、期待される効果)
  3. 省力化投資で生まれる経営資源の活用による新たな付加価値の創出(労働生産性と1人当たり給与支給総額等の向上)
  4. 財務計画(資金調達と今後の数値計画)
  5. 事業の実施体制とスケジュール
  6. 補足事項

このほか、会社全体の数値目標を入れる「その3」は指定様式で、全事業者が提出します。この記事では、補足事項を除く項目を5つの章にまとめ、章ごとにプロンプトを用意しました。補足事項は、申請する回の様式に沿って自社で書きます。下の表で、自社が申請する様式の項目に置き換えてください。

この記事の章省力化投資補助金(一般型)の様式新事業進出・ものづくり補助金の審査で見られる点
①現状と課題1-1 現状分析、1-2 経営課題、1-3 活用の動機・目的課題が適切に認識されているか、過去の取組との一貫性
②取組内容2-1 ビフォーアフター、2-2 期待される効果製品・サービスの価値、顧客ターゲット、選ばれる理由
③投資計画2. 投資全体金額と補助申請金額経費が目的の達成に真に必要かつ合理的な額か
④数値計画3-1 労働生産性と1人当たり給与支給総額等の向上、4. 財務計画、その3 会社全体の事業計画目標値の実現可能性、過去の経営実績との連続性・整合性
⑤体制と日程5. 事業の実施体制とスケジュール遂行できる体制、スケジュールの妥当性

表の項目名は、上記2つの公募要領の原文を短くまとめたものです(2026年10月15日確認)。

融資の計画書は金融機関ごとに様式が違うため、提出先から受け取った様式の見出しを使います。

この記事のプロンプトは補助金の様式に合わせて作っているので、融資では見出しを差し替えるだけでは足りません。資金の使い道、今ある借入の残高と毎年の返済額、新しい借入の返済条件、資金繰りの見通しを材料に加え、融資用のプロンプトで資金計画と返済計画を下書きします。

事業計画書の「現状と課題」「取組内容」「投資計画」「数値計画」「体制と日程」の5つの章を、申請する補助金の様式の見出しに1つずつ対応させる図です。

章ごとに下書きを
作るプロンプト

ここからは、架空の会社を例に、章ごとのプロンプトを順に示します。

例に使う架空の会社

例に使うのは、金属部品を加工する会社(従業員18人・役員2人)が、目視で行っている検査工程に画像検査装置を入れる計画です。会社も数字も架空です。

既存の検査工程を省力化する計画なので、省力化投資補助金(一般型)での申請を想定しています。ただし、この設備がオーダーメイド設備にあたるかなど、対象になるかどうかは確かめていません。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の枠には、この計画だけでは当てはまりません。

【架空の会社の材料メモ】
業種:金属部品の切削加工(産業機械向けの部品が中心)
従業員:18人(全員が正社員。2026年3月期は18人とも全月分の給与を受けた)
役員:2人
決算期:3月

直近3期の決算(単位:万円)
期          売上高   営業利益  人件費   減価償却費
2024年3月期  31,000    620     9,800    1,150
2025年3月期  32,400    710    10,100    1,080
2026年3月期  33,000    680    10,400    1,020
※人件費は、販管費の人件費と製造原価報告書の労務費を合計

2026年3月期の人件費の内訳
給料・賃金・賞与 7,600/役員報酬 1,500/法定福利費 1,150/福利厚生費 150

検査工程(2026年8月の4週間を記録)
目視検査:3人で1日合計10時間
装置導入後の見込み:段取りと判定の確認で1日3時間(装置メーカーの説明による)

見積(2026年9月発行、税抜)
画像検査装置一式 1,180万円/搬送装置 220万円/据付・調整 80万円

決算書や見積書を
貼る前に決めること

最初のプロンプトを送る前に、入力する情報の扱いを決めます。決算書や見積書は、会社の機密情報です。

  • そのAIサービスを業務に使ってよいか、社内で許可を取ります。
  • 利用規約と設定画面で、入力した内容が学習に使われるか、どのくらいの期間保存されるか、提供元や社内の管理者が見られる条件を確かめてください。
  • 取引先の社名、見積の発行元、従業員の名前は、「取引先A」「発注先A」のように置き換えます。
  • 決算書や見積書のファイルはそのまま貼らず、プロンプトに必要な合計や明細だけを書き写してください。

計画書の下書きに必要なのは合計と構成比で、個人を特定できる情報はいりません。従業員個人の給与は渡さず、合計額だけを渡します。社名を伏せても、売上の金額や製品の組み合わせから取引先が分かる場合があるため、渡す範囲は社内で決めておきます。

最初に送る共通のプロンプト

最初の1回は文章を書かせず、足りない材料を質問させます。AIに先に聞き返させると、自分では気づかなかった不足を、提出前ではなく書き始める前に見つけられます。

これから、補助金申請用の事業計画書の下書きを、章ごとに一緒に作ります。
最初は文章を書かず、下の材料で足りない点を質問してください。

【申請する制度】
[制度名・申請枠・公募回・公募要領の版と確認日]

【様式の見出し】
[公募要領や様式の見出しを、そのまま貼る]

【会社の事実】
[業種、主な製品、従業員数と役員数、取引先の業種と売上に占める割合(社名は書かない)]

【決算の数字(直近3期・単位は万円)】
[期ごとに、売上高/営業利益/人件費/減価償却費(決算書から合計だけを書き写す)]

【導入する設備の見積】
[品名・型番・数量・税抜金額・見積日(発行元は「発注先A」などに置き換える)]

【いまの作業時間】
[対象の作業/担当人数/1日の時間/記録した期間]

守ってほしいこと
・私が書いていない実績、受注、取引先からの評価、市場規模、補助金の要件を作らないでください。
・数字を使うときは計算式を書き、材料にない数字は「未確認」と書いてください。
・質問は、審査で根拠を求められそうな順に5つまでにしてください。

架空の会社の材料メモを入れた場合、次のような質問が返ってくるのが望ましい形です。下は、弊社が説明のために書いた見本です。

【望ましい質問の見本(架空)】
1. 補助事業が完了する予定の時期はいつですか。完了日を含む事業年度が、計画の基準になります。
2. 検査で空いた1日7時間を、誰が何の作業に使う予定ですか。
3. 売上を増やす根拠になる受注予定や引き合いはありますか。
4. 1人当たりの給与を、何年に何%引き上げる予定ですか。
5. 設備の資金は、自己資金と借入のどちらで用意しますか。

この5つは、どれも後の章で審査の根拠になる点です。答えられないものがあれば、文章を書く前に社内で決めます。

①現状と課題のプロンプト

現状分析は、決算の数字の動きと、作業時間の記録から書きます。

次の材料だけを使って、事業計画書の「現状分析」と「経営課題」の下書きを書いてください。

【材料】
[会社の事実・直近3期の決算の数字・作業時間の記録を貼る]

書き方
・「現状分析」と「経営課題」の2つに分けてください。
・現状分析では、直近3期の売上高と営業利益の動きを、数字を引用して説明してください。
・経営課題は、材料にある作業時間や人手の状況から2つまでに絞ってください。
・「人手不足が深刻な業界」のような、材料にない一般論は書かないでください。
・最後に、文章で使った数字と、その出どころ(決算書・作業記録など)を表にしてください。

出どころの表を付けさせると、AIが材料にない数字を足したときにすぐ気づけます。表に出どころが書けない数字は、文章から削ります。

②取組内容のプロンプト

取組内容では、設備を入れる前と後で、作業がどう変わるかを工程ごとに示します。

次の見積と作業時間をもとに、「設備導入による業務プロセスのビフォーアフター」の下書きを書いてください。

【導入前の工程】
[工程名/担当人数/1日の時間/記録した期間]

【導入する設備】
[見積の品名・型番・数量・税抜金額]

【導入後に人が行う作業】
[残る作業と1日の時間の見込み/見込みの根拠]

【空いた時間の使い道】
[誰が、どの作業に移るか]

書き方
・導入前と導入後を、工程ごとの表にしてください(工程/人数/1日の時間)。
・減る時間は「導入前の時間-導入後の時間」で計算し、式も書いてください。
・空いた時間の使い道は、私が書いた内容だけを使ってください。書いていなければ「未記入」としてください。
・設備の性能や検査の精度は、見積やカタログに書かれた範囲だけで書いてください。

空いた時間の使い道は、審査で特に問われる点です。省力化投資補助金(一般型)の公募要領は、省力化で生まれた時間や労働力を高付加価値の業務に振り向け、賃上げにつなげる観点を評価すると示しています。

上のプロンプトは、省力化の設備を入れる前と後を比べる形です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、製品・サービスの価値、顧客ターゲット、選ばれる理由が審査で見られるため、【導入前の工程】から【空いた時間の使い道】までを次の材料に差し替え、書き方に3行を足してください。

【新しい製品・サービス】
[何を、どの顧客に、いくらで売るか(社内で決めた案)]

【需要を示す自社の記録】
[問い合わせ・見積依頼の件数と時期、試作品を見せた相手の反応(相手の社名は書かない)]

書き方(足す3行)
・顧客ターゲットと選ばれる理由は、上の記録で示せる範囲だけで書いてください。
・市場規模、業界の成長率、競合の数は書かないでください。必要な箇所には「出典を確認して提出前に追記」と書いてください。
・記録がない項目は「未記入」としてください。

需要の根拠は、AIが挙げた市場の数字ではなく、自社で数えられる問い合わせや見積依頼の記録で示します。一方で、この補助金の公募要領は、事業が売上・利益を確保できる市場規模を持ち、成長が見込まれることを示すよう求めています。市場規模と成長の見込みは、統計の出典を自分で開いて確かめた数字で、提出前に必ず書き足してください。

③投資計画のプロンプト

投資計画は、見積書の明細から経費の一覧を作ります。

次の見積から、補助事業の経費の一覧を作ってください。

【見積】
[見積書の明細を書き写す(品名・数量・単価・金額・税区分・見積日。発行元は「発注先A」などに置き換える)]

作り方
・品名/数量/税抜金額/見積番号(見積1、見積2など)/見積日を列にしてください。
・税込と税抜が混ざっている場合は、その行を指摘してください。自分で換算しないでください。
・合計金額を計算し、計算式も示してください。
・どの経費区分に当たるか、補助の対象になるかは判断せず、「公募要領で確認」と書いてください。

補助の対象になるかをAIに判断させないのは、公募要領の条件が回ごとに変わるためです。省力化投資補助金(一般型)第8回では、単価50万円(税抜)以上の機械装置・システムについて、名称・分類・取得予定価格の記載を求めています。単価500万円(税抜)以上の機械装置は、種類が分かる名称で書かなければなりません。金額は必ず税抜で、見積書の数字と1円単位で一致させます。

見積の合計が、そのまま補助申請金額になるわけではありません。補助の対象になる経費を公募要領で確かめ、補助率と上限額を当てはめて計算します。

④数値計画のプロンプト

数値計画は、AIに数字を考えさせる章ではありません。決算の数字と自社で決めた前提を渡し、計算式つきの表にまとめさせます。

次の決算の数字と計画の前提から、会社全体の数値計画の表を作ってください。

【決算の数字(単位:万円)】
[期/売上高/営業利益/人件費/減価償却費/給与支給総額/従業員数/役員数]

【計画の前提】
・補助事業が完了する予定の事業年度(基準年度):[例:2028年3月期]
・計画期間:基準年度の翌年度を1年目として[3〜5]年
・売上が増える根拠:[受注予定、設備の能力、人員の配置など]
・人員の増減の予定:[年度ごとの従業員数と役員数]
・1人当たり給与の引き上げ予定:[年何%、いつから]
・事業場内最低賃金:[補助事業を行う事業場で最も低い時給の現在額と、年度ごとの引き上げ予定]

作り方
・付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算してください。
・労働生産性は「付加価値額÷(従業員数+役員数)」で計算してください。
・1人当たり給与支給総額は「給与支給総額÷従業員数」で計算してください。給与支給総額には、役員報酬・法定福利費・福利厚生費・退職金を含めないでください。
・年平均成長率は複利で、計画の各年度について基準年度と比べて計算し、式を書いてください。式は(その年度÷基準年度)の(1÷基準年度からの年数)乗-1です。
・給与支給総額と従業員数は、その年度に全月分の給与を受けた従業員だけで数えてください。
・事業場内最低賃金は、年度ごとの予定額を表に1行加えてください。比べる地域別最低賃金は毎年改定されるため、その欄は空けておいてください。
・前提にない成長率を置かないでください。根拠が足りない年は空欄にして、何が足りないかを書いてください。
・最後に私が表計算ソフトで検算するので、各欄の計算式も一覧にしてください。

付加価値額の式は、2つの公募要領で同じです。労働生産性の式は省力化投資補助金(一般型)の定義に、給与支給総額から除くものは新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の定義に合わせています。省力化投資補助金(一般型)でも、福利厚生費・法定福利費・退職金は除かれ、数えるのは従業員の給与だけです。

AIが表に出した数字は、そのまま様式に写さず、必ず表計算ソフトで同じ式を組んで一致を確かめます。

⑤体制と日程のプロンプト

体制と日程では、誰が何を担当し、設備をいつ発注して、いつ使い始めるかを示します。省力化投資補助金(一般型)の公募要領は、設備の型番、取得時期、技術の導入時期まで書いた詳しいスケジュールを求めています。

次の材料だけを使って、事業計画書の「事業の実施体制とスケジュール」の下書きを書いてください。

【補助事業の実施期間】
[公募要領に書かれた期間をそのまま貼る]

【社内の体制】
[責任者・担当者の役職と役割(個人名は書かない)/経理や申請事務の担当]

【社外の協力先】
[設備の発注先・据付・保守の担当(社名は「発注先A」などに置き換える)]

【設備の日程】
[見積の品名・型番/交付決定の予定日/発注の予定日/納品・据付・試運転・検収・支払の予定月]

【資金の用意】
[自己資金と借入の予定額、借入する時期]

書き方
・体制は「役割/役職/担当すること」の表にしてください。
・日程は「月/やること/担当」の表にしてください。
・発注の予定日が、交付決定を受ける予定日以降になっているかを確かめてください。採択の発表から交付決定までの間に発注する予定になっていれば指摘してください。
・発注から支払までが補助事業の実施期間に収まるかを確かめ、収まらない工程があれば指摘してください。
・材料にない人員、資格、協力先を足さないでください。足りない情報は「未記入」としてください。

省力化投資補助金(一般型)の審査では、社内外の体制や最近の財務状況、サイバーセキュリティ対策の状況、金融機関などからの資金調達の見込みも見ます。日程の根拠にするのは、見積書に書かれた納期と、発注先から聞いた据付の予定です。

設備の発注は、採択の発表を受けた時点ではなく、交付決定を受けた日以降にします。2つの公募要領とも、交付決定より前に発注した経費は補助の対象にならないと定めています。

省力化投資補助金(一般型)第8回の補助事業の実施期間は、交付決定日から17か月以内です(ただし採択発表日から19か月後の日まで)。この期間に、発注から支払までを終えなければなりません。

⑥審査する側から
点検させるプロンプト

全章の下書きがそろったら、最後にAIを審査する側の立場に置いて、根拠の弱い箇所を探させます。

あなたは補助金の審査員です。次の事業計画書の下書きを、公募要領の審査項目と照らして読み、根拠を求めたくなる箇所を挙げてください。

【公募要領の審査項目】
[申請する回の公募要領から、審査項目の本文をそのまま貼る]

【事業計画書の下書き】
[全章を貼る]

挙げ方
・指摘ごとに「該当する文」「関わる審査項目」「求めたくなる根拠」を書いてください。
・特に、過去3期の決算と計画の数字のつながり、売上計画と設備・人員の能力、投資額と見積の一致を確認してください。
・労働生産性や1人当たり給与支給総額などの数字は、算出の根拠が書かれているかを確認してください。
・文章は書き直さず、指摘だけを出してください。
・採択されるかどうかは判断しないでください。

審査項目の本文を貼るのは、AIが記憶している古い制度の条件で点検するのを防ぐためです。指摘を採用するかどうかは、資料で裏付けられるかで決めます。裏付けがない指摘に合わせて文章だけを強めても、口頭審査では説明できません。

商談メモから提案書を作るときにも、同じように材料を先に渡して章ごとに書かせる方法が使えます。手順は提案書を生成AIで作る方法にまとめています。

融資を受けるときに
足すプロンプト

設備資金の融資を受ける場合は、金融機関から受け取った様式の見出しに沿って、資金の使い道と返済の見通しを数字で示します。①〜⑤の下書きに加えて、次のプロンプトで資金計画と返済計画の下書きを作ります。

次の材料だけを使って、金融機関に出す事業計画書の「資金計画」と「返済計画」の下書きを書いてください。

【提出先の様式の見出し】
[金融機関から受け取った様式の見出しを、そのまま貼る]

【資金の使い道】
[設備の品名と金額(税抜・税込の別)/運転資金に使う額]

【資金の用意】
[自己資金/今回の借入額/補助金を見込む場合はその額と入金の予定月]

【今ある借入】
[借入ごとに、残高/毎月の返済額/返済が終わる時期(金融機関名は「借入A」などに置き換える)]

【今回の借入の条件】
[借入期間/据置期間/返済の方法/金利(提出先から示された値)]

【月ごとの入出金の見込み(12か月分)】
[売上の入金/仕入・外注の支払/給与/その他の経費/借入の返済/設備の支払/月初の現預金残高]

書き方
・資金の使い道と資金の用意を表にし、2つの合計が一致するかを計算式つきで示してください。
・今ある借入と今回の借入を合わせて、年ごとの返済額の表を作ってください。
・月ごとの入出金から月末の現預金残高を計算し、残高がマイナスになる月や大きく減る月があれば指摘してください。
・補助金を見込む場合は、設備の支払から補助金の入金までの間の資金をどう用意するかを確かめ、材料になければ「未記入」としてください。
・金利、返済期間、審査の基準など、私が書いていない条件を作らないでください。

補助金は先に設備代を払い、後から受け取る形です。省力化投資補助金(一般型)第8回の公募要領も、補助事業の終了後に実績報告を出し、補助金額が確定してから支払う精算払いと定めています。補助金を返済の財源に数える場合は、入金までの期間を借入か手元資金でまかなえるかを、月ごとの残高で確かめてください。

審査で突かれる数字の確認表

文章が整っても、数字のつながりが崩れていると審査で根拠を求められます。省力化投資補助金(一般型)の審査項目の1つは、労働生産性や1人当たり給与支給総額などの算出根拠が妥当かどうかです。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の審査項目にも、「過去の経営実績や各種経営指標との連続性・整合性が確保されており、事業計画との間に無理や乖離が生じていないか」という一文があります。

伸び率を求められる数字は、
補助金ごとに違う

2つの補助金は、どちらも年平均成長率で要件を決めていますが、対象になる数字が違います。省力化投資補助金(一般型)で4.0%を求められるのは、付加価値額ではなく労働生産性です。

要件になる数字省力化投資補助金(一般型)第8回新事業進出・ものづくり補助金 第1回
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)基準年度より増やす(基本要件ではなく「その他の要件」)。書面審査では、伸び率が大きい計画ほど評価される年平均成長率4.0%以上
労働生産性(付加価値額÷(従業員数+役員数))年平均成長率4.0%以上基本要件には入っていない
1人当たり給与支給総額年平均成長率3.5%以上。自分で決めた目標に届かないと補助金の返還年平均成長率3.5%以上。自分で決めた目標に届かないと補助金の返還
事業場内最低賃金毎年、地域別最低賃金+30円以上。届かない年は、補助金額を計画年数で割った額の返還毎年、地域別最低賃金+30円以上。届かない年は、補助金額を計画年数で割った額の返還
足下の賃上げ(直近の決算期から基準年度まで)1人当たり給与支給総額の伸びが物価上昇率を上回らない計画は、審査で大幅に不利1人当たり給与支給総額の伸びが物価上昇率を上回らない計画は、審査で大幅に不利

表は、2026年10月15日に確認した公募要領の要件と審査項目を短くまとめたもので、特例や加点の条件、返還を求めない例外は含めていません。どちらも、基準年度は補助事業が完了した日を含む事業年度で、伸び率は基準年度と比べて複利で計算します。

提出前に1行ずつ確かめる表

要件の数字に加えて、売上・投資額・返済など、計画書の数字どうしのつながりも確かめます。

確認する数字崩れやすい点確かめ方
労働生産性・付加価値額の年平均成長率単純平均で計算し、4.0%を超えたように見える複利の式で計算し直す。最終年度だけでなく毎年の値も確かめ、人を増やす計画なら増えた人数で割る
基準年度直近の決算期を基準にしている補助事業の完了日を含む事業年度かを確かめる
給与支給総額人件費と同じ数字を入れている役員報酬・法定福利費・福利厚生費・退職金を除く
1人当たり給与支給総額の年平均成長率単純平均で3.5%を超えたように見える。途中入社・退職した人まで数えている複利で計算し直す。全月分の給与を受けた従業員を賃金台帳で数え、その人たちの給与だけで総額を出す
賃上げの目標値返還の決まりを知らずに高い目標を置く届かないと返還を求められるため、毎年の昇給の予定で届くかを確かめる
事業場内最低賃金計画を作った時点の地域別最低賃金と比べたまま、翌年以降を確かめていない地域別最低賃金が改定されるたびに、補助事業を行う事業場で最も低い時給が+30円以上かを賃金台帳で確かめる
足下の賃上げ直近の決算期から基準年度までの賃上げを考えていないこの期間の1人当たり給与支給総額の伸びと、物価上昇率を比べる
売上計画設備の能力や人員で作れる量を超えている1日の生産量×稼働日数と比べる
設備の発注時期採択の発表を受けてすぐに発注する予定にしている発注の予定日が、交付決定を受ける日以降かを確かめる。交付決定日より前に発注した経費は補助の対象外
投資額見積と計画書で金額・税区分がずれる見積番号ごとに税抜金額を突き合わせる
削減できる時間記録ではなく感覚で書いている記録した期間と担当人数を添える
過去3期との連続性横ばいの売上が、計画で急に伸びる伸びる理由を受注予定や能力の増加で説明する
借入の返済返済額が、利益と減価償却費で返せる額を超える年間の返済額と比べたうえで、補助金の入金前の月も含めて、月ごとの現預金残高が足りるかを確かめる

過去3期の決算から基準年度、計画1〜3年目までの付加価値額が一続きにつながっているか、売上計画・設備の能力・人員・給与が互いに矛盾しないかを確かめる図です。

付加価値額と労働生産性は、
年平均を複利で計算する

架空の会社の直近3期の付加価値額は、次のとおりです。

期計算付加価値額
2024年3月期620+9,800+1,15011,570万円
2025年3月期710+10,100+1,08011,890万円
2026年3月期680+10,400+1,02012,100万円

基準年度は、補助事業が完了する予定の事業年度です。第8回の採択発表は2027年2月上旬の予定で、発注できるのは交付決定を受けた後です。3月決算の架空の会社が2027年3月末までに納品から支払まで終えるのは難しいため、基準年度を2028年3月期と置きます。

この基準年度の付加価値額を12,800万円と見込み、3年後の2031年3月期に14,360万円とする計画を立てたとします。基準年度を2026年3月期の12,100万円より高く見込んだのは、給与の引き上げで人件費が増え、新しい設備の減価償却費も加わるためです。人数は従業員18人と役員2人の20人のままです。

見込みの数字は、売上計画と人員・給与の計画から積み上げて決めます。

労働生産性は、基準年度が12,800÷20=640万円、3年後が14,360÷20=718万円です。増えた割合を3で割る単純平均では、(718÷640-1)÷3=約4.06%となり、4.0%を超えて見えます。

複利で計算すると、(718÷640)の3分の1乗-1=約3.91%で、省力化投資補助金(一般型)の要件の4.0%に届きません。複利で年4.0%を満たすには、3年後の労働生産性が640×1.04×1.04×1.04=719.912…万円以上、付加価値額では20人分で14,399万円以上が必要です。

人を増やす計画では、労働生産性の割る数も増えます。3年後に22人にするなら、必要な付加価値額は719.912…万円×22人で、15,839万円以上です。付加価値額だけを見て計画を立てると、人を増やした分だけ労働生産性の伸びが足りなくなります。

省力化投資補助金(一般型)は、最終年度だけでなく計画期間の毎年、基準年度と比べた年平均成長率が4.0%以上になる計画を求めています。架空の会社なら、労働生産性が1年目に640×1.04=665.6万円以上、2年目に640×1.04×1.04=692.224万円以上になっているかも確かめてください。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、労働生産性ではなく、付加価値額の年平均成長率4.0%以上が要件です。公募要領は、この伸び率も複利で計算するよう定めています。

人件費の拾い方にも注意が必要です。製造業では、販管費の人件費とは別に、製造原価報告書の労務費にも人件費が入っています。販管費だけから拾うと付加価値額が小さく出るため、何を人件費に含めるかを申請する回の様式・記入の説明で確認してから決めます。

架空の会社の人件費は、給料・賃金・賞与、役員報酬、法定福利費、福利厚生費の合計です。これは説明のための置き方で、2つの公募要領に人件費の範囲を定めた記載は見当たりませんでした。

1人当たり給与支給総額は、
人件費と別に計算する

賃上げの要件で使う「給与支給総額」は、付加価値額の計算に使う人件費とは別の数字です。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領では、給与支給総額を「従業員に支払った給与等(給料、賃金、賞与等は含み、役員報酬、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)」と定義しています。架空の会社では、人件費10,400万円のうち、給与支給総額にあたるのは給料・賃金・賞与の7,600万円だけです。

1人当たりの額は、2026年3月期に全月分の給与を受けた正社員18人で割り、7,600万円÷18人=約422万円です。

数える従業員にも決まりがあります。全月分の給与を受けた従業員だけを数え、途中入社や退職で全月分を受けていない人は、その年度に限り、人数からも給与の合計からも外します。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、パートタイムの従業員も、正社員の就業時間に換算して数える決まりです。

伸び率も複利で計算します。基準年度の額を448万円と置くと、年3.5%を満たすには、3年後に448×1.035×1.035×1.035=496.705…万円以上が必要です。

この目標値は、交付申請までに表明します。表明する相手は制度ごとに異なり、次のとおりです。

  • 省力化投資補助金(一般型):全ての従業員(または従業員代表者)と役員
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:全ての従業員(または従業員代表者)

どちらの補助金も、計画の最終年度に目標値に届かなければ、届かなかった割合に応じて補助金の返還を求められます。伸び率が0以下なら全額返還です。返還を求めない例外の条件は制度ごとに違うため、申請する回の公募要領の返還の項で確かめてください。

審査では、直近の決算期から基準年度までの「足下の賃上げ」も見られます。架空の会社なら、2026年3月期の約422万円から基準年度(2028年3月期)の448万円までの2年間で、年平均の伸びは複利で約3.0%です。この伸びが物価上昇率を上回っているかを確かめてください。足下の賃上げは、どちらの補助金でも、採択から交付決定までの間に従業員へ表明する必要があります。

AIに「人件費」とだけ渡すと、給与支給総額と区別せずに計算することがあるため、プロンプトで2つを分けるよう指示します。

投資回収期間と省力化指数は、
作業記録から計算する

省力化投資補助金(一般型)では、省力化指数と投資回収期間を審査で評価し、算出根拠の妥当性も見ます。公募要領は、次の式で計算するよう示しています。

  • 省力化指数:(設備導入で削減される業務に要していた時間-導入後に発生する業務の時間)÷ 削減される業務に要していた時間
  • 投資回収期間:投資額 ÷(削減工数×年間稼働日数×人件費単価+増加した付加価値額)

架空の会社の検査工程では、省力化指数は(10時間-3時間)÷10時間=0.7です。年間稼働日数を240日、人件費単価を1時間2,800円と置くと、削減工数の人件費換算額は7時間×240日×2,800円=470.4万円です。

投資額1,480万円に対し、増加した付加価値額を0として計算すると、投資回収期間は1,480÷470.4=約3.1年になります。増えた付加価値額を足せば期間は短くなりますが、足す額にも受注予定などの根拠が要ります。

この470.4万円は、空いた時間をお金に換算した額です。空いた7時間は加工などの別の作業に移るため、その分だけ給与の支払いが減るわけではありません。借入を返すお金は、この換算額ではなく、利益と減価償却費から考えます。

導入後の3時間は、装置メーカーの説明による見込みでした。導入後の時間をメーカーの説明だけに頼る場合は、その出どころを計画書に書き、実演や試験の結果があれば添えます。人件費単価を1時間いくらで置くかは、AI担当者を置く効果と回収期間の考え方でも試算の仕方を説明しています。

売上計画は設備と
人員から逆算する

前提を渡さずに数値計画を頼むと、AIが「毎年5%増」のような根拠のない伸び率を置いた表を返すことがあります。しかし、売上を増やすには、作る量か単価のどちらかが増えなければなりません。

架空の会社なら、検査から外れた人が加工に移り、1日に加工できる数が何個増えるかを先に決めます。増えた数×単価×稼働日数が、売上計画の増加分と合っているかを確かめてください。過去3期の売上が横ばいなのに計画だけが伸びている場合は、伸びる理由を受注予定や引き合いで示せるかを確認します。

設備資金を借り入れる場合は、毎年の返済額が、税引後の利益と減価償却費の合計で返せる範囲に収まっているかも確かめます。ただし、年間で返せる計算でも、設備代の支払や補助金の入金待ちが重なる月は、手元の資金が足りなくなるかもしれません。今ある借入の返済を含めた月ごとの入出金と現預金の残高も、融資用のプロンプトで表を作って確かめてください。

省力化投資補助金(一般型)では、補助事業の資金を金融機関から調達する予定なら、金融機関による事業計画の確認書の提出が必要です。

AIの下書きで直すところ

よく見かけるのは、出典のない数字、材料にない実績、効果をぼかした言い方、年度のずれの4つです。次の表に、それぞれの直し方を並べました。

AIの下書きによくある書き方起きている問題直し方
「市場は年率5%で成長している」出典のない数字が入っている統計の出典を自分で探して書く。見つからなければ削る
「取引先から高い評価を得ている」材料にない実績が足されている受注の継続年数や再発注の件数など、資料で示せる事実に置き換える
「AIとIoTで生産性を飛躍的に高める」どの工程が何時間減るかが書かれていない工程名・時間・人数で書き直す
「計画1年目(2026年度)」基準年度と計画年度がずれている補助事業の完了日を含む年度を基準年度とし、その翌年度を1年目にする

表の4行目の年度は、省力化投資補助金(一般型)の公募要領の定義によります。基準年度は補助事業が完了した日を含む事業年度、計画1年目はその翌年度です。

生成AIの下書きにある出典のない市場の数字・材料にない取引先の評価・どの工程が減るか書いていない文を、出典の確認・資料で示せる事実・工程と時間と人数で書き直す前後を比べた図です。

申請の準備をどの
順番で進めるか

最後に、締切までの作業の順番をまとめます。

  1. 申請する補助金と枠を決める:計画が対象になるかを公募要領で確かめます。判断がつかなければ、事務局や認定経営革新等支援機関に問い合わせてください。
  2. 公募要領と様式を手に入れる:AIに貼るのは、様式の見出しと審査項目の本文です。
  3. 材料をそろえ、入力の決まりを決める:決算書3期分、賃金台帳の集計、見積書、作業時間の記録を集め、AIに渡す範囲を社内で決めます。
  4. 数字を先に決める:基準年度、売上計画、労働生産性、1人当たり給与支給総額の目標、事業場内最低賃金、投資額を、表計算ソフトで固めてください。
  5. 章ごとに下書きする:共通のプロンプトで不足を聞き返させてから、①〜⑤の順に書かせます。融資も受けるなら、資金と返済のプロンプトも加えてください。
  6. 点検して直す:⑥のプロンプトで指摘を受けたら、確認表で数字を検算します。

文章より先に数字を決めるのは、文章を書いた後に数字を変えると、全章を書き直すことになるためです。

毎期の決算から付加価値額や1人当たり給与を計算する作業は、補助金のたびに同じ形で発生します。集計と検算の手順を一度決めておけば、次の申請や金融機関への説明でも同じ表を使い回せます。集計の手順を決めるときは、Excel月次集計のAI活用も参考にしてください。

数字は決算書と見積から決め、
文章の下書きをAIに任せる

事業計画書を生成AIで作るときは、決算書と見積書から数字を決め、AIには章ごとの文章の下書きと、足りない材料の質問、審査する側からの点検を任せます。

判断の基準は二つです。計画書の数字はすべて、決算書・見積書・作業記録から取った値か、経営者が決めた計画の前提かを区別し、それぞれの根拠を残してあること。そして、経営者がすべての文を自分の言葉で説明できることです。

最初の一歩は、申請する補助金と枠を決め、その回の公募要領から様式の見出しを写すことです。次に、共通のプロンプトに決算の数字と見積を入れて、AIに質問を5つ出させてみてください。答えられない質問が、計画書を書く前に社内で決めるべきことです。

決算や作業記録の集計、見積との突き合わせを毎回手作業で行っていて負担が大きい場合は、その工程を仕組みにする方法もあります。まるっとAIでは、こうした集計・確認の仕組みづくりから運用までを月額でお手伝いしています。補助金の申請書の作成代行は行っていません。

よくある質問

Q. ChatGPTで作った事業計画書を補助金の申請に使ってもよいですか?

A. 2026年10月15日に確認した省力化投資補助金(一般型)第8回と新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回の公募要領には、生成AIの利用を認める記載も禁じる記載も見当たりませんでした。

省力化投資補助金(一般型)の公式資料「事業計画書作成の参考ガイド」は、生成AIサービス等で公募要領の要点をつかみ、事業アイディアを壁打ちしながら計画づくりに活かすことを勧めています。

ただし、AIが書いた文章をそのまま提出してよいとは書かれておらず、どちらの公募要領も事業計画は申請者自身で作成するよう求めています。

AIは要領の理解と下書き、点検にとどめ、すべての文と数字を経営者が説明できると確かめてから提出してください。

Q. 無料版のChatGPTやGeminiでも事業計画書の下書きは作れますか?

A. 章ごとの下書きや不足する材料の質問は、プランを問わず試せます。

ただし、プランによって使える機能や入力内容の扱いが違います。

決算書や見積書の数字を入力する前に、業務で使ってよいサービスか、入力した内容が学習に使われるか、どのくらいの期間保存され誰が見られるかを、利用規約と設定画面で確認してください。

最初は取引先名や見積の発行元を伏せ、必要な合計だけを書き写した材料で試すと安全です。

Q. 事業計画書や補助金申請向けの専用AIサービスと、ChatGPTなどの汎用AIのどちらを使えばよいですか?

A. この記事の手順は、汎用のチャットAIで進められます。

材料と様式の見出しを自分で貼り、数字は表計算ソフトで検算する流れなので、専用のサービスがなくても下書きと点検はできます。

専用サービスを検討するのは、汎用AIでは手間がかかる作業を、そのサービスが代わりに行えると確かめられた場合です。

どちらを使う場合も、入力した決算や見積が学習に使われるか、どのくらい保存され誰が見られるかを利用規約で確かめてください。

あわせて、申請する回の公募要領に合わせて更新されているかも確認し、出力をそのまま提出せずに、すべての数字と文を経営者が確かめてから使います。

Q. 市場規模や業界の数字をAIに調べさせてもよいですか?

A. 調べる候補を挙げさせるのはよいですが、AIが示した数字をそのまま計画書に書かないでください。

統計や調査の出典を自分で開き、数字と公表年を確かめてから使います。

出典を確かめられない数字は削ります。

Q. 融資の事業計画書にも同じプロンプトを使えますか?

A. 補助金用の章立てだけでは足りません。

金融機関から受け取った様式の見出しに差し替えたうえで、この記事の「融資を受けるときに足すプロンプト」を使い、資金の使い道、今ある借入の残高と返済額、新しい借入の条件、月ごとの入出金の見込みを材料に、資金計画と返済計画を下書きしてください。

毎年の返済額が税引後の利益と減価償却費の合計で返せる範囲に収まっているかに加え、補助金の入金前の月も含めて、月ごとの現預金残高が足りるかを確かめます。

Q. AIが計算した付加価値額や伸び率は、そのまま使ってよいですか?

A. そのまま使わず、表計算ソフトで同じ式を組んで検算してください。

付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費の合計で、年平均成長率は複利で計算します。

単純平均で計算すると、省力化投資補助金(一般型)の労働生産性や、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の付加価値額に求められる年4.0%を超えて見えても、複利では届かない場合があります。

1人当たり給与支給総額に求められる年3.5%も同じです。

Q. 認定支援機関や専門家に相談する場合も、AIを使う意味はありますか?

A. あります。

相談の前に、材料の不足をAIに洗い出させて下書きを作っておくと、相談の時間を数字の根拠の確認に使えます。

省力化投資補助金(一般型)では、事業計画の作成を支援した者がいる場合、申請画面にその名称と報酬を記載する必要があります。

記載しなかった場合は虚偽として、不採択や採択取消の対象になります。

Q. 事業計画書は何ページくらい書けばよいですか?

A. 決まったページ数はありません。

申請する回の様式と公募要領に従ってください。

省力化投資補助金(一般型)第8回の公募要領は、A4サイズで可能な限り簡潔に作るよう求め、記載の分量で採択を判断するものではないと書いています。

AIに長い文章を書かせるより、数字の根拠を示す表や記録を添えることを優先してください。

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いまの決算資料・見積・作業記録の扱い方をもとに、集計と確認を仕組みにできる工程を整理します。補助金の申請書の作成代行は行っていません。

この記事の執筆者と編集部

執筆

Web制作・デザイン出身。AIを使ったアプリ開発と業務自動化を、設計から実装まで担当しています。自ら開発・運用する経験をもとに、仕事でAIを使う手順と注意点を解説します。

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編集・検証

まるっとAI編集部

補助金や融資の事業計画書を、決算書と見積書を材料に生成AIで下書きする手順と、提出前に確かめる数字を説明しています。